「FARGO/ファーゴ」シーズン4をようやく観た

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ドラマ「FARGO/ファーゴ」、Netflixではシーズン3までのリリースですが、Amazonプライムビデオではシーズン4も観られます(本日現在)。

シーズン4には、ベン・ウィショーが出ています。私は彼に詳しくなく、以前「ロンドン・スパイ」で見かけた程度です。しかし、とても印象に残っています。

ドラマ「ロンドン・スパイ」は、“諜報ものサスペンス” と思い込んで視聴。蓋を開ければ、“諜報ものサスペンス” とは言い切れない内容。でも面白かったからいいか、そんな感想になります。ベンはダニー役(ゲイ)、彼の恋人(なのか?)はアレックスという名前で諜報員。ある日、アレックスが姿を消し…みたいなお話でした。

「ロンドン・スパイ」は現在、視聴できなくなっています。おぼろげな記憶ではアレックス役がジェームズ・ノートンだったのですが、調べてみると違っていて、演じていたのはエドワード・ホルクロフトでした。エドワード・ホルクロフトは「またの名をクレイス」で、若き医師サイモン・ジョーダンを演じていた人です。「ロンドン・スパイ」でも「またの名をグレイス」でも、人を惹きつける演技をしていたと思います。

抑圧した怒りが生む魔界「またの名をグレイス」は名作
若き医師サイモン・ジョーダンは、カナダにある懲治監を訪れます。その目的は、殺人罪で収容されているグレイス・マークスの報告書を作成することでした。マーガレット・アトウッドによる実話ベースの小説をドラマ化したもので、隠れた名作と私は思っています。

ふたりを間違えて記憶するということは、私の脳内ではジェームズ・ノートンとエドワード・ホルクロフトが似た存在として認識されているということなのでしょうか。ジェームズ・ノートンは比較的好きな俳優で、ドラマ「FARGO/ファーゴ」シーズン4でイカれた看護師オラエッタ・メイフラワーを演じているジェシー・バックリーと付き合っていたっけな、と思い、調べてみたところ、ふたりは既にお別れしたようです。

シーズン4で登場頻度の高い、黒人ギャングのロイ・キャノン役がクリス・ロック。「どこかで聞いた名前だなあ」と思ったら、アカデミー賞授賞式で平手打ちにされた人でした。

そんな感じで、バラバラな記憶をつないでくれた「FARGO/ファーゴ」シーズン4。一言で言えば、割と淡々としています。高らかに盛り上がるところ、緩急の波はあまりなく、じんわりと面白いタイプに入ります。最初から最後まで、特定の人物に注目して観るタイプのドラマでもありません。そんななか “ラビ・ミリガン(ベン・ウィショー)&ロイの末子サッチェル” パートは面白いと思います。看護師メイフラワーも、わざとらしくないレベルぎりぎりの個性で全体にインパクトをもたらす存在に仕上がっています。

プロット等、細部まで考えた作りとなっているので、そういうのを楽しむことが好きな人に特にお勧め。シーズン4を前日譚として、シーズン2へとつながる部分があるので、そういう見方での視聴もできます。2巡目の視聴ではかなり面白く感じられることから、表面的に追う視聴パターンの場合、淡々としたお話という印象が強くなる、ということではないかと思います。

では、始めましょう。

舞台はミズーリ州カンザスシティ。1950年の設定で、ギャング間抗争のお話です。1950年に至るまでの経緯も若干描かれています。

[1950年の出来事に至るまで]

  • 1900年 ユダヤ人ギャング「モスコウィッツ・シンジケート」が裏社会を牛耳っている
  • 1920年 アイルランド人ギャング「ミリガン商会」がやってくる 平和を保つため、ユダヤとアイリッシュのボスは末っ子同士を交換する。敵の子を育てることにより、争いを話し合いで解決できる、という考えるによるものである。アイリッシュ側から差し出された子どもがラビ・ミリガン
  • 1928年 「モスコウィッツ・シンジケート」に差し出されている少年ラビ・ミリガンの手引きにより、ユダヤ人とアイルランド人が戦いに。アイルランド人が勝つ。「モスコウィッツ・シンジケート」が滅んだことにより、ラビ・ミリガンは「ミリガン商会」に戻る
  • 1934年 イタリア人ギャング「ファッダ・ファミリー」がやってくる。アイリッシュは既に末の子ではなくなっているラビ・ミリガンを「ファッダ・ファミリー」に差し出す。「ファッダ・ファミリー」も「ミリガン商会」に対して長男ジョスト・ファッダを差し出す
  • 1937年 「ファッダ・ファミリー」に差し出されている青年ラビ・ミリガンの手引きにより、「ファッダ・ファミリー」が「ミリガン商会」を打ち負かす。「ミリガン商会」に差し出された少年ジョスト・ファッダも、ラビ・ミリガンに協力する。「ミリガン商会」が滅んだことにより、ジョスト・ファッダは「ファッダ・ファミリー」に戻る
  • 1949年 黒人ギャング「キャノン有限会社」がやってくる。「ファッダ・ファミリー」(ドナテッロ・ファッダ)はドン・ファッダの末の子ゼロを、「キャノン有限会社」(ロイ・キャノン)も末子サッチェルを差し出す
  • 1950年 黒人の女子高生エセルリダ・スマトニーの両親は葬儀社を営んでいる。両親はロイ・キャノンから多額の借金をしている。ときにエセルリダを語り部として、ギャング、サイコパスの看護師メイフラワー、脱獄したLGBTQカップル、警察などが絡み合って物語が展開していく

日本人の私としては疎い部分であるのですが、このドラマは差別問題にも触れていて「ここに純粋な白人はいなかった。イタリア人、黒人、アイルランド人は平等の権利のために戦っていた」と述べています。黒人はともかく、イタリア人、アイルランド人は、私には白人に見えるのですが、白人社会ではそうと見なされていなかったようです。

イタリア人の「ファッダ・ファミリー」は “品位あるアメリカ人を対象としている” ことを理由に駆け込んだ私立病院で門前払いにされ、黒人の「キャノン有限会社」は斬新なクレジットカード事業を思いつきますが “白人のビジネス社会” から一顧だにされません。そういった1950年当時のアメリカ社会も描かれています。

[覚えておいたほうがよい主要な登場人物]

  • ロイ・キャノン(クリス・ロック)…「キャノン有限会社」(黒人ギャング)のトップ。末子サッチェルを「ファッダ・ファミリー」に差し出している。葬儀屋に多額の資金を貸している
  • ジョスト・ファッダ(ジェイソン・シュワルツマン)…ドナテッロ・ファッダの息子で、彼を継いで「ファッダ・ファミリー」(イタリア人ギャング)のトップとなる。子どもの頃、アイリッシュギャング「ミリガン商会」のラビ・ミリガンと交換されていた。その頃のトラウマのせいか、今ひとつ頼りにならない印象の強いボス。言い寄られて看護師メイフラワーと関係をもつが、政治家の娘と婚約する
  • ラビ・ミリガン(ベン・ウィショー)…アイルランド人ギャング「ミリガン商会」トップの息子で、ユダヤ人ギャング「モスコウィッツ・シンジケート」の息子と交換される。その後「ミリガン商会」へ戻るが、次にイタリア人ギャング「ファッダ・ファミリー」のジョスト・ファッダと交換される。「ミリガン商会」なき後は「ファッダ・ファミリー」で、黒人ギャング「キャノン有限会社」ロイ・キャノンの息子サッチェルの世話をし、守り続ける。諦観、達観した感じの男で務めを淡々と果たす。ジョストが彼のボスだが、ジョストよりも年長で洞察力がある
  • ガエターノ・ファッダ(サルバトーレ・エスポジト)…「ファッダ・ファミリー」トップのジョストの弟。イタリアからやってくる。大柄で下品。小柄で気弱なところのある兄ジョストよりもギャングな感じ。いろいろかき回して兄ジョストを悩ませる。ジョストをボスと認めず、小馬鹿にしている
  • エセルリダ・スマトニー(イマイリ・クラッチフィールド)…葬儀屋の娘。父は白人、母は黒人。聡明な女子高校生。脱獄したLGBTQカップルの片割れの姪に当たる
  • オラエッタ・メイフラワー(ジェシー・バックリー)…葬儀屋の向かいのアパートに住む看護師。「ファッダ・ファミリー」のドナテッロ・ファッダを看取った公立病院から、 “品位あるアメリカ人を対象としている” 私立病院へ移る。彼女の担当した患者は不審死を遂げる。亡くなった患者の遺品と不適切な方法で入手した薬物をコレクションしている。人生におけるプライオリティがよく分からない人。コレクションが生きがい?お菓子づくりも好き。葬儀屋の娘エセルリダを危険視して手を打つ
  • ディック・’デフィー’・ウィックウェア(ティモシー・オリファント)…脱獄した女ふたり(葬儀屋の娘の伯母とその恋人)を追う連邦保安官。敬虔なるモルモン教徒
  • オーディス・ウェフ(ジャック・ヒューストン)…賄賂の見返りとしてギャングのために動くカンザスシティの刑事。強迫神経症と思われる。デフィーの補佐として働くことになる

黒人ギャング「キャノン有限会社」とイタリア人ギャング「ファッダ・ファミリー」の抗争は以下のような流れで激化します。(A)

「ファッダ・ファミリー」のドナテッロ・ファッダ死亡 ⇒ 「生前ドナテッロが『キャノン有限会社』に食肉処理場を譲ると言った」というロイ・キャノンの主張をもとに「キャノン有限会社」が食肉処理場を力づくで奪おうとする ⇒ 「ファッダ・ファミリー」トップのジョストの弟ガエターノはラビ・ミリガンの忠誠心を試そうとする ⇒ 「キャノン有限会社」との関係がさらにややこしくなる ⇒ 以下つづく

ふたつ目のストーリーラインは次のようです。(B)

エセルリダの伯母が恋人と脱獄 ⇒ 葬儀屋に身を寄せる ⇒ 伯母&恋人は大金を得ようと「キャノン有限会社」の倉庫を襲撃する ⇒ 以下つづく

(A)(B)の要所で流れに影響を与えるのが、イカレ看護師オラエッタ。脱獄カップルも絡んで展開を複雑にします。

さらにこんな伏線もあります。(C)

葬儀屋はロイ・キャノンから多額の借金をしている ⇒ 借金のかたにロイ・キャノンは葬儀屋を手中に収める ⇒ 以下つづく

随所がグロかったり、汚かったりするので、食事をしながら観るのは避けたほうがよいかも。

では、楽しんでください!

ちなみに「FARGO/ファーゴ」シーズン5も制作されており、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のスティーブ役だったジョー・キーリーが登場します。

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シーズン1は、不気味な殺し屋と、妻を殺すことになる保険屋を巡る話。シーズン2は、ギャングの抗争に意図せずして関わることになってしまい、自らも、あの世に何人か送り込むことになる美容師と肉屋の夫婦の話。どちらも非常に面白いサスペンスドラマです。
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シーズン5はアメリカ中西部の主婦ドロシーを巡るお話。その内容紹介と視聴しての感想です。
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