タイ・タムルアン洞窟遭難事故(1)映画「13人の命」

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映画「涙するまで、生きる」を視聴したら、ヴィゴ・モーテンセンつながりでお勧めされた「13人の命(原題: Thirteen Lives)」(2022年の作品)。2018年6月下旬に起きた、タイの少年サッカーチーム13人のタムルアン洞窟での “遭難” から、ダイバーたちによる “救出” まで(実話)を映画化したものです。

この遭難事故については「THE CAVE ザ・ケイブ レスキューダイバー決死の18日間」という2020年の作品があることを「13人の命」を観てから知りました。前者はレビューの評価が今ひとつであったため視聴していません(実際に救出にあたったダイバーなどが登場していてドキュメンタリータッチらしいのですが)。

Netflixが来る9月23日に「ケイブ・レスキュー: タイ洞窟必死の救出」というドラマシリーズを配信予定だそうで「13人の命」とNetflixの作品を比較しつつ観ておけば十分と現時点では思っています。

タムルアン洞窟遭難事故についての情報整理

後日Netflix版ドラマシリーズについても記事にすると思いますので、まずは遭難事故周辺の情報を整理しておきましょう。事実誤認があるかもしれませんが、ご容赦ください。

遭難した13名のうち4名が無国籍だった

かつてタイへはよく行きました。バンコクのスワンナプーム国際空港でチェンマイ行きに乗り継ぐことが多かったのですが、一文字違う行先であるチェンライの洞窟が遭難地点です。

チェンライ県は、北にミャンマー、東にラオスとの国境を有しています。遭難した少年サッカーチームのうち3名とアシスタントコーチ(25歳)は無国籍であり、タイ、ミャンマー、ラオスがメコン川で接する山岳地帯(ゴールデン・トライアングル)の部族出身でした。Wikipediaによれば「この地域には明確な国境がなく、人々にはパスポートが割り当てられていない」とのこと。遭難からの救出後、彼らにタイ国籍が与えられました。

遭難現場となったタムルアン洞窟とは

タムルアン洞窟はチェンライ県のクンナムナーンノーン森林公園内にあります。洞窟のある山の形が女性の横たわる姿に見えることから「男性に強い恨みを持って亡くなった女性の体内」と、地元の人たちから恐れられているそうです。

救助にあたったのも男性ですが、遭難した13人全員が男性ですから、そういった言い伝えもあながち的外れでなかったかもしれません(女の子たちは、あんな洞窟へわざわざ行かないと思う)。

遭難したのは雨季に入る7月より前の6月下旬、不意の大雨が洞窟内へと流れ込みました。洞窟内の水位が上昇して大半が水没した結果、13名は身動きがとれない状況へと追い込まれます。

困難を極めた救出活動

映画「13人の命」ではタイ海軍特殊部隊の協力を得て、イギリス人ダイバーたちが重要な役割を担います。彼らが特殊訓練を受けた軍人でなく、アマチュアボランティアダイバーであったことから、当初はタイ海軍のセクショナリズムによって動きを制限されます。同作品では焦点を当てていませんが、フランス、ベルギー、アメリカ、オーストラリア、中国のダイバーたちも洞窟内の作業に協力。その後方支援として、多数の人々によって大量の水が洞窟内から汲み出され、洞窟内への水の浸入を防ぐ作業も行われました(トータルで10億ℓ超)。耕作地へは2億5000ℓの放水がなされました。

第3空間(入口から800m)からイギリス人ダイバーのリックとジョンが潜っていきます。入口から900mの鍾乳石のトンネル、1150mの泥のトンネル、1600mのT字路へと進みます。その地点まではタイ海軍特殊部隊が進み、ガイダンスを既に設置していました。移動に要した時間は3時間50分。

遭難して10日目。T字路を超え、2300mの長く狭いトンネル、第9空間(入口から2500m)へ。所要6時間ちょっと。リックとジョンはメンバー13人が洞窟の奥の岩の上にいるのを発見。しかし多くの箇所が浸水しており、洞窟潜水を行わない限り到達できない状況でした。

熟練したダイバーたちは洞窟潜水で少年たちのいる場所へ行くことができます(ただし片道6時間程度かかる)。しかし少年たちはダイバーではないため、彼らを長時間潜水させて、どのように連れ帰るかが大きな課題となりました。少年たち全員が生存していることがニュースとなり、人々は湧き立ちました。しかし生きて連れて帰る術がなかったのです。リックらは突破口としてダイビングの腕が確かなハリー(麻酔科医でオーストラリア人)、ジェイソン、クリスを呼び寄せます。

本格的な雨季に入ったことで洞窟内の水位が上がり、救出活動の難易度はさらに高くなっていきました。

「救出に尽力したのは17カ国。ダイバー100人超、政府機関約100の代表、警察官900人、兵士2000人、およびボランティア多数を含む、推定10000人が救助活動に貢献した」と言われています。洞窟内で救助にあたったタイ海軍の2名が命を落としました。

映画「13人の命」を観て

「THE CAVE ザ・ケイブ レスキューダイバー決死の18日間」は観ていませんので、好評だった「13人の命」との差異はよく分かりません。

「13人の命」は名作を多数送り出したロン・ハワードが監督、ダイバーのリチャード・スタントン役がヴィゴ・モーテンセン、ジョン・ヴォランセン役がコリン・ファレルといった辺りも評価に影響しているかもしれません(もちろん作品の出来が最大のポイントかと)。洞窟内の撮影の大半はセットだと私は思っていますが、大雨のシーンを含め、ずっと水浸しで俳優さんたちも大変だったことでしょう。

タイっぽいなと思ったのは、高僧たちがやってきて祈願したり、洞窟の入り口にあるナーンノーン王女像に人々が線香、供物、祈りを捧げたりするところです。王女の怒りに触れ、少年たちは洞窟に閉じ込められた、そのようにタイの人たちは解釈します。僧侶にブレッシングしてもらったお守りをダイバーたちに手渡したのも、タイの人たちの精神性を表しています。信心深く、自然の守り神に畏敬の念をもっています。

遭難した少年サッカーチームのアシスタントコーチは元僧侶であり、少年たちに祈りと瞑想を指導していました。「25歳にもなって、少年たちと一緒に危険な洞窟探検ですか」と思いもしましたが、彼が一緒に遭難してリーダーシップを発揮したことで、メンバーが無駄に体力を消耗することなく、心の平安が保たれた面があると思います。

私が勝手にもっている印象に過ぎませんが、タイの人はよく言えばシンプル、悪く言えば単純でアバウトです。一方、遭難した少年たちを荷物のように運ぶ作戦は西洋人ならでは。今までの洞窟救助の経験がなければ出てこない発想ではありますが、リスクを勘案して合理的な賭けに出るところは簡単に真似できない部分だと思います。

仕事を終えてイギリスへ帰国したリックのポケットから、受け取ったお守りが出てきます。タイの人たちの熱心な祈りに懐疑的だった彼も、それを見て何か思うところがあったのでしょうか。

[ロケ地]タイ、オーストラリア

Netflixの作品では、同遭難事故をどのように描いているのでしょう。今週末が楽しみです(↓視聴しました。コチラをどうぞ)。

タイ・タムルアン洞窟遭難事故(2)ドラマ「ケイブ・レスキュー: タイ洞窟必死の救出」
2018年6月下旬に起きた、タイの少年サッカーチーム13人のタムルアン洞窟での “遭難” から、ダイバーたちによる “救出” まで(実話)をドラマ化したもの。映画「13人の命」と比較しながら視聴しました。
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