外交視点からの諜報ものードラマ「ザ・ディプロマット」(シーズン1)

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既にシーズン2の製作が決定している「ザ・ディプロマット」(原題:The Diplomat)。タイトルの通り、アメリカの外交官が主人公です。

外交官は祖国の顔として政治的な動きをしますが、昔から変わらず、外交官の重要な任務は “諜報” です。各国諜報機関であるCIAやMI6のメンバーが主人公のドラマ・映画はありがち。しかし大義名分と外交特権をもって国のために動いている外交官のそれらはあまり多くありません。

この手のドラマのお約束として国家規模での謀略があり、自国の不利益を回避し危機に乗じて力を拡大しようとする人たちが情報戦を繰り広げます。「ザ・ディプロマット」の場合、それに夫婦関係という要素・要因が加わっているのが特徴です。

夫婦ともに有能な外交官。夫は妻のサポートをしているつもりかもしれません。しかし夫のやることなすことが、ことごとく自分の方針に反するためイラつく妻。どちらの味方というわけではないにも関わらず、観ているこちらもなんだかイラつきます。その絶妙なひっかかりとアメリカ、イギリス、ロシア、イラン、フランスの駆け引き、主にアメリカとイギリスの公私を含む人間模様などによってエピソード8までもっていかれるドラマです。

シーズン1の最後に大きな出来事(米大使館員を巻き込む爆発事件)が発生し、その後はシーズン2まで分かりません。シーズン1の導入部あらすじ、主な登場人物、感想などを書いてシーズン2のリリースを待ちたいと思います。

導入部あらすじ

アメリカ人の外交官であるワイラー夫妻(ハルとケイト)はアフガニスタンへの赴任を希望していました。そんなときイギリスの空母カレイジャスがイラン沖で爆発。多数の海軍兵が死亡します。ケイトは駐英アメリカ大使に任命され、夫のハルを伴って急遽渡英します。

空母が爆発したのがイラン沖であったことから、多くの人々がイランの関与を疑いました。しかしイランの外務副大臣はハルを通じて否定します。

赴任早々、夫ハルの勝手な行動に振り回されるケイトや首席公使のスチュワート。ケイトとハルの結婚生活は既に破綻しており、離婚に向けての話し合いも行われていました。しかし政治的な理由もあってハルはケイトと離婚するつもりがありません。

主な登場人物

アメリカ側の人たち

アメリカ人とは限りません。

  • ケイト・ワイラー: ベテランのアメリカ外交官。駐英大使のポストが空いていたタイミングでイギリス空母の爆発事件があったために、アメリカ代表としての対応の必要性から急遽大使に任命される。実務家タイプ。演ずるケリー・ラッセルを私が見るのは「ジ・アメリカンズ」以来
  • ハル・ワイラー: ベテランのアメリカ外交官。ミゲル・ギャノン国務長官に対する発言が理由で大使には任命されず、ケイトのパートナーとしてイギリスへ渡る。元駐レバノン大使。野心家でトリッキーな動きをする。規律を無視しがち
  • ビリー・アッピア: アメリカ大統領首席補佐官。近い将来、副大統領が辞任すると見込んでいる。後任候補のひとりとしてケイト・ワイラーに白羽の矢を立て、素質を見極めるために大使としてイギリスへ送り込む
  • ウイリアム・レイバーン: アメリカ大統領。演じているのは「ベター・コール・ソウル」のチャック・マッギル役だったマイケル・マッキーン
  • スチュワート・ヘイフォード: 在英アメリカ大使館の首席公使。新任大使であるケイトの補佐を務める。アリッセロニー・バックハーストは彼のスタッフ
  • ミゲル・ギャノン:国務長官。ケイトの上司にあたる
  • エイドラ・パーク: CIA支局長。スチュワート・ヘイフォードと付き合っているが、関係を公にしていない
  • ハワード: CIA職員
  • テオ:CIA職員
  • ミツカ:CIA職員(?)
  • フランシス・マニング: アメリカ大使公邸の管理責任者。公邸ではほかにペンシーが世話係として働いている
  • バイロンマーティン: 大使であるケイトの警備にあたっている
  • キャロル・ランゲッティ: ケイトとは旧知の間柄。イラクにいるCIA分析官
  • ジル・クライン:ケイトの元同僚
  • ルイス・クエイントン:ハルの元同僚。非公式にサウジアラビアと仕事をしている

イギリスの人たち

  • ニコル・トロウブリッジ: イギリスの首相
  • オースティン・デニソン: イギリスの外務大臣。セシリアという妹がいる
  • アヌ・カプール: オースティン・デニソン外務大臣の部下
  • グウェン・ヘンピル: イギリス外務省に所属(外務代表)
  • メグ(マーガレット)・ロイリン: トロウブリッジ首相の元ブレーン(保守党の元キャンペーンマネージャー)。“ハイゲートの女神” がニックネーム
  • メリット・グローヴ: イギリスの保守派議員。ハルとコネクションを築こうとする

イランの人たち

  • ラソール・シャヒン: イランの外務副大臣。ハルとつながりがある
  • バシール:イランの工作員
  • パーハム・ハジャール:イランの大使。デニソン英外相、米大使ケイトと面会後に死亡
  • ファリード・ナマジ:イランの公使

ロシアの人たち

  • オルガ・バラキン:駐英ロシア大使。ケイトにレンコフに関する情報を提供する
  • ローマン・レンコフ:ロシアで軍事会社(レンコフ社)を経営。ラウリッサという娘がいる。シーズン1では話に出てくるだけ

フランスの人

  • ブリエル・フルニエ: ケイトが交渉するフランス側の人物(内務大臣)

感想・メモ

私は国際外交に疎く、このドラマで展開されている外交政策や手腕が優れたものなのかどうかはわかりません。

しかし、よくも悪くも(ひょっとしたら妻ケイトのためを思って)想定外の要らぬことをいろいろするハルが事態を混乱させ、それに対して怒ったり悲しんだりして対応に追われながらも、大使としての外交手腕を発揮するケイトの姿が観る者の気を逸らしません。

イギリスの空母を爆破したのは誰(どんな組織)なのでしょうか。シーズン1の最後で、ある仮説が提示されます。アメリカもイギリスと手を結びつつ、国際社会において自国の立場を明確にする必要があります。

一方、妻ケイトがフランスへ出張している間にハルはアメリカ大使館の制止を振り切ってイギリスの議員との関わりを強めようとします。諜報ものに政治的な要素が絡んでいるところが、このドラマの面白さ。それを少なからず支えているのがケイトの夫ハル。

シーズン1の終わり方から想像する限りでは、シーズン2ではその路線が変わる可能性があります。次のシーズンがどのような展開になるのか楽しみです。

爆破事件の黒幕は誰?-ドラマ「ザ・ディプロマット」(シーズン2)
駐英米国大使ケイト・ワイラーとその夫ハル。不協和音と大事件に巻き込まれながらも彼らなりの外交活動を展開していきます。
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