成長は“自己納得”とマイペースで(3)


全体としては、自己成長欲求は最終教育機関によって強弱がみられ、高学歴であるほど、能力の開発や発揮の意欲は高い。学歴が低くなると、能力開発よりは、現在の自分の能力やペースでやっていける職場で働くことを望む傾向が、より強くみられるようになる(図表割愛)。

一方“フリーター”ならびに“元フリーター正社員”へのインタビューからは、彼らの表面的な穏やかさ、エネルギッシュさを感じさせない態度とは裏腹に、例外なく、自分の技能や能力を高めたい気持ちがあることが感じられた。ただし、特に“消極的フリーター(将来に対するビジョンなし)”においては、その思いは漠然としたものであることがほとんどで、実現に向けた行動に、直接的かつ具体的につながっていない。

“元フリーター正社員”には、上司や顧客とのかかわり合いから「評価されることによって、自分を高める動機付けを得ている」傾向がみられる。このように、置かれた状況、求められる働き方によって、マイペースながらも、体験を通して自己成長欲求は変容する。

【「理想の働き方・仕事」から連想すること(インタビューより)】

 グループ 連想すること(代表例)
フリーター後期男性 3ヶ月くらい無休で働き、半年くらい遊ぶ/趣味が仕事になる/気心の知れた人と働く
フリーター後期女性 労働時間が長くない/好きなことを仕事にする/お金を稼げる/人間関係がよい
高卒フリーター男性 やりがいがある・人の役に立つ/通勤時間が短い/趣味が仕事になる/安定した収入
高卒フリーター女性 プライベートな時間を多く取れる/収入や給料がよい/やりたいことを自分らしく
元フリーター正社員男性 自分の努力によってレベルの高い仕事ができるやりがい・自分にしかできない仕事/人から仕事を任される/人に喜ばれる
元フリーター正社員女性 上司やクライアント、後輩から信頼される/自分にしかできない仕事をする・成長できる/趣味、好きなこと、関心のあることが仕事になる

 

成長は“自己納得”とマイペースで(2) へ

「10年後の若年労働者減少」に企業の約7割が未対応 へ