「ファミリーマン」シーズン3。とうの昔に公開されていました。知らなかったわ。
シーズン1・2について過去に書いていますので、シーズン3も取り上げようと思います。

シーズン1・2のほうが世の中的評価が各段に高いのですが、シーズン3も悪くない内容。
シーズン2の最後に用意されていた伏線
シーズン2は2021年頃のコロナパンデミックの時期の描写で終わり。そしてシーズン3への伏線が用意されていました。
- エンディングの場面:インドのコルカタ。集合住宅の一室で中国人男性が秘匿性の高いSNSで連絡を取り合っている
- やりとりの内容:“A1769:今なら皆、隙だらけだ” ⇒ “S2316:フェニックスたちは?” ⇒ “A1769:ナガランドに潜伏している。2日後にはアルナーチャルに着く予定” ⇒ “S2316:中央司令部から許可は出ている” ⇒ “A1769:関羽作戦は決行?” ⇒ “S2316:決行だ。戦士よ”
シーズン3はその続きとなります。
導入部あらすじ
ナガランド州コヒマ。“すばらしきナガランド” のイベント会場で民族系ダンスが披露されているシーンからスタート。
ナガランドはモンゴロイド系のナガ族(20以上の部族)の拠点。民族的にもインド中枢のデリー界隈とは異なる価値観&優先順位をもつ人たちが暮らしていて、長らくの民族紛争地でもあります。
男たち(部族リーダーのデヴィッド・クーゾウ氏とナガランド州首相)の会話によれば「ナガランドの平和と発展に注目する首相がようやく誕生した」とのこと。首相とは、ナガランド州の男性首相のことと思われます(バスーはけっこう以前から国の首相であるため)。
観客席にいた女性(非モンゴロイド系)は自分のバッグ内を確認、それを席に残して男とともに立ち去ります。その後の報道によれば、その晴れがましいイベントにおいて30名が死亡、15名が負傷するという悲惨な爆発事件が発生。
ほかにもインパールのバス停、ディマプルのホテルやパシガト、イータナガルなどでも爆発が起きます。警察署すらも爆破されます。48時間で北東部の6都市が襲われて数百人が死亡。インド政府は非常事態宣言を出します。
政府関係者の見立ては、中国によって支援を受けている国内の武装組織を動員しての “関羽作戦” の一部。またインド政府においても “関羽作戦” への対抗策として “サハカル作戦(北東部の防衛と発展計画)” なるものを推し進めていたようです。
中国はインドと国境を接するミャンマーに “フェニックス・ヴィレッジ” を作り、そこで鍛えた過激派をインドへと送り込み、北東部の紛争を継続させようとしていました。
そしてロンドンではインドの首相に圧力をかけ、防衛事業グループ「ザ・コレクティブ」との契約を急がせる方向で策が練られていました。
インド国立捜査局(NIA)長官のクルカルニの指示で、スリカントは北東部の和平協定締結に向けてナガランドへ同行。和平協定を目指した背景には、そのエリアの経済や教育面での体力増強を行い、インド政府に協力的な体制を整えることで、中国からの脅威を退けようという意図があったようです。
ナガランドの和平を目前にして、立役者である部族リーダーのデヴィッド・クーゾウとクルカルニ長官が、反政府民族組織MCA-Sのユニフォームを着た男たちによって襲撃されます。実は彼らは「ザ・コレクティブ」支援者ミーラの差し金で、反社会的な人物 “ルクマ” が組織していました。スリカントも重傷を負いますが、唯一の生存者となります。
キーマンらの暗殺を企てた者たちはデヴィッド・クーゾウや長官からなる一行の予定を熟知しており、ミーラらが諜報活動によって事前に情報を得ていた、もしくはインド政府内部に内通者がいたと考えられました。
しかし①襲撃事件で生き残ったのはスリカントひとりだけ、②上長の許可を得ることなく入院していた病院にミニTASCを設置しての情報収集、③長官殺害に関する詳細報告の不履行を理由に、スリカントは重要な容疑者であるとインド国立捜査局(NIA)の委員会によって見なされ、武器とIDを返却するよう申し渡されます。
いっぽうスリカントの妻スチトラの勤務する企業 “シュリンク・ミー” に中国資本 “スー・ヨン・キャピタル” が参加(なお、アルビンドはカナダに移住したそうで出てきません)。インドでは国内産業への中国資本の流入を危険視、政府は中国アプリの使用を規制し始めます。
妻スチトラの勤務する “シュリンク・ミー” は襲撃を受け、娘のドリティは捏造画像を拡散され、息子のアターヴは学校でイジメに遭います。
登場人物
主人公とその家族
- スリカント・ティワリ:インド国立捜査局(NIA)の情報チームTASC(脅威解析・監視班)の捜査官。咄嗟の嘘が天才的に上手い。職務に対しての粘り強さが飛び抜けている。ムンバイ在住。弟はスレン
- スチトラ・ティワリ:スリカントの妻。IT企業 “シュリンク・ミー” に勤務している
- ドリティ・ティワリ:スリカント&スチトラの娘。社会問題活動家の女子大学生になっている
- アタルヴ・ティワリ:スリカント&スチトラの息子。ずいぶんと成長して髭など生やしている。学校ではバレエサークルに所属。減らず口でよくしゃべる
インド国立捜査局(NIA)関係者
- ゴータム・クルカルニ:インド国立捜査局(NIA)長官。 “サハカル作戦(北東部の防衛と発展計画)” 推進の中心人物。主要な反政府組織を交渉の席につかせ、北東部の分派組織を潰そうと考える。シーズン1・2にも登場
- JKタルパデ:スリカントの同僚。善人だが思慮深くはない。マッチングアプリで結婚相手を探している。シーズン1・2にも登場
- シャルマ:スリカントらの上司。シーズン1・2にも登場
- ゾヤ・アリ:前職はITエンジニア。シーズン1ではTASCの新人。シーズン3で職場復帰。スリカントに詳しい点を見込まれ、指揮官ヤティシュの特別捜査班に加わる
- アジト:TASCのメンバー。シーズン1・2にも登場
- サローニ・バット:軍事情報部の大佐。スリカントと因縁が深い指揮官。シーズン1にも登場。ジェームスは部下
- プニット・バナジー:TASCのメンバー。シーズン1・2にも登場
- チェラム:“sir” 付けで呼ばれている先生的存在。シーズン2で見事な情報提供を行っていた “あの人”
- ヤティシュ・チャウラ:本部から派遣されてきた特捜班の指揮官。スリカントのチームから襲撃事件の捜査を引き継ぐ
- ヴィニート/スジャイ:ヤティシュの部下
- ヴィクラム・ヴァイド:大佐。特命で部隊を組織する
インド政府の関係者
- プロニータ・バスー:首相。インド北東部の和平実現が悲願。シーズン1・2にも登場
- サンビット:シーズン1・2にも登場。首相の側近
- ヤシュワント・クマール:防衛契約を推し進めたい人。防衛大臣?
- ヴァラプラサド・パカラ:ゴータム・クルカルニ長官同様に “サハカル作戦” 推進派。首相の側近
インド北東部の人たち
地域連合/民族組織の関係者
- デヴィッド・クーゾウ:和平協定に向けて反政府勢力を取りまとめた人物
- スティーヴン・クーゾウ:デヴィッドの孫でMCA-S代表。祖父とは異なり、和平協定に反対している
- チューバ:MCA-Sのメンバー。自称農家。アンドレアという娘がいる
- ウルピ:MCA-Sのメンバー
- ザゾ:MCA-S支持者でネット活動家。襲撃事件への組織の関与を否定する。中身はジェスミナ
- テムジュン:MCA-Sのメンバー。ミャンマーの “フェニックス・ヴィレッジ” に潜入している
- ベンジャミン:ミャンマーのMCA-Sメンバー
反社会的組織の関係者
- ラビット:ロンドンから(ミーラ ⇒ サミール少佐ルート)の依頼で、インド北東部に強い人物をリクルートする
- ルクマ(ルクマンガダー・シンハ):インド北東部に強いことで白羽の矢が立った麻薬密輸人。巡査の息子で元国境防衛隊員。恋人的存在なのがアルナーチャル・プラデーシュに住むニマ(シングルマザーで息子はボビー・マクファーリン)
- チャンポ:ルクマの手下。生え際に特徴あり過ぎの人
- ジョセフ:ルクマの手下
- ルーベン:襲撃事件でルクマと動いていた男。八の字髭
- コト:ルクマからドラッグをくすねた男
ロンドンの人たち
陰謀を企む人たち
- ドワラク・ナス:ロンドンで暮らす資産家。インドにルーツをもち、バスー首相への献金者。「ザ・コレクティブ」との防衛契約についてインド政府との交渉を任されている仲介人
- ミーラ・エストン:インド系イギリス人。防衛事業グループ「ザ・コレクティブ」の支援者。夫は軍需産業の大物
- ジェームズ・コールドウェル/フランソワ/ウィリアム・コーエン:エピソード1でドワラクに圧をかける人たち
- ロイド/ウィル:ミーラの指示でITを活用したナスリーン・ベイグの暗殺に関与する情報技術班
- サミール:“サミール少佐” としてシーズン1・2で暗躍していた人。この人、クールな色男に見せるためのメイクかもしれないけれど目元全体が青白くないですか?体調が悪いのかもしれないですね
- マーティン・ホール:MI6のメンバー
- ブルース・レニントン:CIAのメンバー
資産家一族
- ナスリーン・ベイグ:「アンサリ将軍の殺害に元ISI工作員(サミール少佐)が関与した」との告発を行う
インド警察の関係者
- バスカー・ケルサ:ナガランドの警官。インド国立捜査局(NIA)特捜班の指揮官ヤティシュをサポートする
- マイケル・ヴェダナヤガム:スリカントの友人で、インド警察の刑事
- スブ:刑事マイケルの知り合い。ミャンマーへの国境越えをサポートする
その他
- バヴィク・カンワル:ニュースキャスター
- ニヒル:スチトラ・ティワリの勤務する会社の同僚
- アミーラ:アターヴのバレエサークルの先輩
- ヴァサント/ジョン/シャム:アターヴらの練習風景を眺めていた/アターヴをからかう生徒たち
- マリデシュ・バーブ:列車でID確認をする担当者。チットゥール出身
- ズーロン:ミャンマーの “フェニックス・ヴィレッジ” を仕切っている大佐
- ナワズ・ハサン:サミール少佐と面会するパキスタンの将軍
感想&メモ:シーズン1・2を超えるのはハードルが高かった?
「ファミリー・マン」シーズン3の評価は決して低くないのですが、シーズン1・2に対する世間的評価が高すぎたために “相対的な今いち感” が無きにしも非ず。
でも十分に及第点です。これまでの出来がよいと、今後に対して期待を高くもつ視聴者が増えるいっぽうで、思いも寄らないハラハラドキドキを随所に用意するのって難しいんだろうなと思わされました。
政治的描写について論争をしばしば巻き起こしている作品
私は純粋にエンタメとして視聴しているので(+国際情勢に詳しくないこともあって)深い問題意識はもたなかったのですが、これまでのシーズンに関していくつかの論争があったようです。
【シーズン1】
ラシュトリヤ・スワヤムセヴァク・サング(インドの右翼団体で準軍事組織)はカシミールにおける弾圧の描写とテロリストを擁護するかのような表現について、いくつかの異議を唱えた
【シーズン2】
タミル・ナードゥ州政府や同州の政治的指導者たちは「タミル人をテロリストとして描いている」ことに遺憾の意を表し、インド全土での放送禁止を要求した
「パタロック~地獄に生まれし者たち~」の夫婦が共演
元は麻薬密輸人、ミーラに雇われて殺し屋になったルクマを演じたのはジャイディープ・アフラワット。「パタロック~地獄に生まれし者たち~」では、主人公ハティ・ラム・チョーダリー警部補を演じており、やはり存在感がただごとではないです。
ハティ・ラム・チョーダリー警部補の妻レヌを演じていたのが、グル・パナグ。その彼女が本作で演じていたのがサローニです。
ジャイディープ・アフラワットもグル・パナグも、まるで違う役柄を見事に演じていて「やぱりプロってすごいなあ」と感心しました。
ふたりが同時に登場するシーンは本ドラマにはなかった気がするので、撮影現場で居合わせることはなかったと推察します。

マイケル・ヴェダナヤガム刑事は「フェイク」からの参加
「ファミリー・マン」の監督は RAJ & DK で、偽札づくりのドラマ「フェイク」と同じ人たち。
インドからミャンマー国境を越えるにあたり、偽札流通ルートが比較的難易度が低いということで、スリカントたちに力を貸したのがマイケル・ヴェダナヤガム。「フェイク」ではインド警察の刑事で、本作には1エピソードのみのゲスト出演です。

シーズン4も用意されつつある模様
脚本等、制作は既に進行しているそうです。万が一、頓挫しても「あのままスリカントは死にました」で辻褄は合わせられそうです。
